2025年6月議会一般質問②【デジタルアーカイブ】
2:デジタルアーカイブ
地域で作成された郷土資料等の史料的価値について本市の所見
(黒口)
次にですね、デジタルのアーカイブについてお尋ねします。文化都市の推進として、美術工芸品をデジタル公開する「デジタルミュージアムプラス」では、閲覧される回数が、すでに設定されたKPIを超えて順調な状況がうかがえます。これに関して私は、本市にとって、市民にとって、史料的価値がある地域の書籍とか記録誌、いわゆる「地誌」もデジタルアーカイブに加えるべきではないかと考えます。
地誌については、今年度も地域の周年事業として本市への編入100周年を迎える2つの地域で記念誌が作られます。本市の予算にはその補助が組まれております。玉川図書館などの本市の図書館では、こうした過去の地誌が所蔵されていますけども、その書籍があることもあまり知られていないようですし、冊数が少なくて閲覧しかできないものがあるのも現状です。こうした地域の歴史や文化が調べられた資料というのは、目に触れる機会がちょっと多いとは言いにくいのかなと考えています。
これらを電子書籍化して、広く市民が接しやすい環境として、金沢市の電子図書館で貸し出しができるとか、そういったデジタルの利点を生かすことはできないかと思います。そこで、各市内の校下・地区で作られた記念誌・地域の記録などの史料的価値について、本市はどのような評価をされているか、この点からお伺いいたします。
■答弁:市長
郷土資料につきましては、地域の歴史を理解するとともに、現在の課題解決に役立てることができる価値ある資料と捉えております。
従来から玉川図書館におきまして、古文書や寄贈いただいた地域の記念誌などの資料を収集し、大切に保存してきております。
Q:そうした資料で地域の歴史を学ぶことは、まさに地域の理解を深めて、改めて、地域社会とのつながりを強めたり、過去の教訓なども学びながら、今後の地域社会に生かせる知恵を得ることも期待されるかと思います。
こうした金沢の地域の歴史や文化を深掘りできる環境を進化させるというところで、地誌をデジタルアーカイブして、電子図書館で公開することについて、市長の所見をお伺いします。
■答弁:市長
地方の郷土史などの地誌、これをデジタルアーカイブ化する、そして電子図書館で公開するという場合には、著作権や肖像権などの詳細な確認に膨大な時間が必要になります。
また、セキュリティの確保、電子データの長期保存のための仕組みづくりなど、様々な課題があるというように捉えております。一方で、現在、国立国会図書館、一部導入を始めたと聞いておりますので、この動向を注視してまいりたいと考えています。
(黒口)
著作権の関係とか権利処理、いろいろな課題があるということは私も承知しておりますが、実現に向けた可能性の調査というところをぜひお願いしたいと思います。
史料的価値のある映像の収集について
Q:もう一点、映像のアーカイブについてお尋ねします。歴史や文化を後世に伝える記録としましては、写真や文章だけではなく、映像もあると思います。 昭和の時代からはですね、各家庭でも時の映像が残っているということは珍しくありません。中には、その時々の金沢の姿を映し出した映像記録が含まれていることも考えられます。
そうした史料的価値のある映像にも着目して、本市で所蔵する価値のある映像を収集、デジタル保存することも同様に検討を求めたいと思いますが、市長の所見をお伺いします。
■答弁:市長
図書館については、図書館法によりまして、資料を収集し保存して閲覧に供するということが求められております。
先ほどと同様になりますけれども、著作権者、肖像権者などの利用許諾を得た資料以外は収集ができません。そのため、現在は著作権者に利用許諾を得ている映画やアニメ等のDVDのみを収集をしております。
一方で、郷土資料としての映像資料の価値については十分認識をしております。収集と保存につきまして、著作権や肖像権の取り扱いなどを含めて、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
(黒口)
映像も同様に課題があるということですけれども、著作権に関しては例えば著作権の権利は70年が経過しますと、その著作権が消滅し、パブリックドメインになると言われております。計算しますと1955年、昭和30年以前の著作物というものはパブリックドメインになるということで、これは権利処理というところでも、一つ課題を超えられる可能性があるかと思います。地域から許諾いただくこともいろいろ大変かと思いますが、ぜひ今後も調査検討をお願いしたいと思います。